第66回公演『解のない教科書』―いじめをめぐる民事訴訟―
普段通りの生活を送っていた教師・青木。
ある日、担任生徒の母親・絵実から相談を受ける。
「うちの子、いじめられていないでしょうか?」
相談を受けたにもかかわらず、防ぎきれなかった傷害事件。
なぜ学校はいじめを防げなかったのか。
絵実はいじめについての調査を依頼するも学校からの報告はなかった。
「いじめを認め、新たな対策をとってほしい」という思いから絵実は裁判を起こす。
教師の葛藤。母親の思い。
いじめとは何なのか。
どうしたらいじめを防げたのか。
あなたならどのような「答え」を出しますか?
今年のテーマである「いじめ」の問題の1つに挙げられているのがいじめの定義についてです。
いじめ防止対策推進法では「被害生徒が心身の苦痛を感じたらいじめ」という定義がなされていま
すが、この定義ではいじめを客観的に判断することが難しいとの指摘もあります。そもそもいじめと
感じるかどうかは、その人の感じ方や当事者の人間関係、その場の状況などによっても異なると思い
ます。さらに近年ではいじめの陰湿化、多様化により更に難しい問題となっています。
以上のようなつかみどころのない「いじめ」と法律のことを比喩して「解のない教科書」というタ
イトルをつけました。
いじめは、非常に曖昧で難しい問題です。そのため私たちはいじめについて常に考えていく必要が
あるのではないでしょうか。
この公演がいじめ問題について考えるきっかけになっていただけたなら幸いです。