2015 第64回公演『まなざし』―少年事件と法―
どこか寂しさが漂う、秋の夕暮れ時。
少年、上地優人は、見ず知らずの少年火野照之と偶然肩がぶつかってしまう。
「お前からぶつかってきたんだから謝れよ!」
優人は、照之に一方的に殴りかかる。
幸い、通行人が彼を取り押さえるたため、大事には至らず済んだものの、
照之は目に大けがを負ってしまう。
通報を受けた警察によって逮捕され、取り調べを受けた後、
優人は、傷害の非行事実で川内家庭裁判所に送致され、審判に付されることとなる。
少年法の手続きのなかで徐々に明らかになる、非行の背景、本当の動機。
彼に向けられる、温かい視線。冷たい視線。
審判の場で、彼は何を述べるのか。
周囲の大人たちには、彼がどのように映るのだろうか。
少年が見つめるその先には―――
少年が、家庭、学校、地域、友人など様々な外的要因から影響を受け、自身の内的要因も相まって犯罪に手を染めてしまう少年非行問題。この問題は慢性的に叫ばれ続けているものではありますが、近時、させぼ同級生事件や川崎忠一殺害事件のように少年が起こした凶悪な事件が頻繁にメディアで取り上げられ、また昨年は少年法の4度目の大改正がなされるなど「少年の扱い」について特に多くの注目が集まっています。
本公演では、傷害事件を契機とする少年法の一連の手続き、その最たる特徴である少年審判を描きます。その中で、少年法・その他の法制度がどのように少年の更生を目指すのか、そして「少年の健全な育成」のためには何が必要なのかを、ご来場いただいた市民の皆様に考えていただきます。