2014 第63回公演『隣席』―過労死をめぐる民事訴訟―
ある大手商社に勤務する若手社員、手塚大祐。毎日忙しく働きつつも、仕事の楽しさ、やりがいを感じ、熱心に仕事に打ち込んでいた。
ある朝、手塚はいつも通り出社し仕事の準備をしていたが、隣の席の同僚、田辺哲也がまだ出社していないことに気づく。不審に思いつつも仕事を始めようとしたところ、上司からあることを告げられる。
「昨晩、田辺が亡くなった」
突然の出来事に戸惑いを隠せない手塚。後日、田辺は過労が原因で亡くなったことを知る。
「昨日まで一緒に仕事をしていたのに、なんで…」
一方、田辺の両親は会社の管理体制を明らかにし、息子の悲劇を二度と繰り返してほしくないという思いから、会社を相手に民事訴訟を起こすことを決意する。
会社から裁判で証人として出廷するよう命じられた手塚。
手塚は田辺の死に向き合い、「働く」ということの意味を考え始める。
「生きる」ために必要なこと?それとも「生きる」ための一手段?それとも…
「隣席」で仕事をしていた同僚について、手塚が語ることとは―――
2013年の流行語大賞に『ブラック企業』が選ばれ、近年特に注目されている労働問題。
今や大きな社会問題となっている過労死・過労自殺の問題ですが、その原因として、現在の法律ではカバーしきれないという事が挙げられますが、そのほかに、働く人それぞれの『労働観』の違いも原因の一つとして挙げられるのではないのでしょうか。
本公演を通じて、市民の皆様に労働者を守る法制度の機能を知っていただき、また『働く』とは何かを改めて考えて頂きたいと思い、今年はこのテーマとなりました。